整容がADL向上につながる3つの理由!効果的なサポート方法は?

身だしなみを整える「整容」は、自立した生活を維持・向上させるために欠かせない行動です。そのため、高齢者の自立した生活の指標であるADL(日常生活動作)の1つにも数えられています。整容はご自身で行える利用者さんもいれば、サポートが必要な方もいるなど、介護職の関わり方はさまざまです。そこでこの記事では、整容がADL向上につながる理由とともに、介護職の効果的なサポート方法について紹介していきます。

整容とは

整容とは、整髪やひげ剃り、洗顔などの身なりを整えることです。歩行が困難になったり認知機能が低下したりと、身体的・精神的にご自身だけで整容を行えない利用者さんには、介護職がサポートしてケアすることもあります。整容は、自立した生活の指標であるADL(日常生活動作)の1つであり、介護予防の観点からも重視されているケアです。

整容がADL向上につながる3つの理由

超高齢社会である日本では、高齢者ができるだけ長い期間生き生きと自立した生活を送れることが重要と考えられています。自立した生活を送るためには、日常生活に必要な食事や排泄、入浴などのADLの維持・向上が欠かせません。また、整容もADL向上につながると考えられています。ここでは、その理由について見ていきましょう。

利用者さんの自信を保てる

身だしなみを整えることは、年齢を問わず多くの方が毎日行っている行動です。朝起きたら歯を磨いて髪をとかし、服に着替えることなどが習慣になっています。身だしなみが整っていないと「人に会いたくない」と引け目を感じることもあるでしょう。

それは利用者さんにとっても同じです。整容によって身だしなみが整うと、自然と生活や気持ちに自信やハリが生まれていきます。そのため、介護が必要な方であっても整容ケアを行うことで、ADLの維持・向上が期待できるのです。

社交性を失いにくくなる

介護状態の悪化を防ぐためには、生きがいや人とのつながりなど、社会との接点も重要です。しかし、身だしなみに気を配らなくなると、人と会うことに消極的になる方も少なくありません。そのため、まずは身だしなみを整えておくことが、社交性をなくさないために重要なのです。

「○○さんと会うからきちんとしていよう」「身の回りのことはできるだけ自分でやろう」といった意識は整容からも生まれます。こうした点がADLの維持・向上につながると考えられている要因でしょう。

健康維持に役立つ

整容は、体を清潔で健康に保つためにも大切です。爪や歯などの手入れをしていないと菌が繁殖し、感染症や合併症を引き起こすこともあります。これらが引き金となり、歩行困難や寝たきりとなるとADLはさらに低下し、自立した生活を送るのはより難しくなるでしょう。そのため、まずは整容によって健康に配慮し、ADLを低下させないようにすることが重要なのです。

効果的な整容ケアを行うポイント

ここからは、効果的な整容ケアを行うポイントについて見ていきましょう。

利用者さんの長年の習慣をヒアリングする

「食事をとる前に歯を磨く」「洗顔はぬるめのお湯で行う」など、利用者さんによって整容の習慣は違います。そのため、介護職による整容ケアがいつもの習慣と違うことで、かえってストレスとなってしまう利用者さんもいるでしょう。こうしたすれ違いが起こらないよう、整容ケアを行う際は事前に利用者さんやその家族から手順や使いたいアイテムを聞いておくと安心です。

蒸しタオルやお湯などを上手く取り入れる

洗面所で洗顔ができない利用者さんの整容には、蒸しタオルを使うとスムーズです。ひげを剃る場合も、事前に蒸しタオルで余分な皮脂を取り除いておくときれいに剃りやすいでしょう。また、爪切りはお湯で爪を温めてから行うと整えやすくなります。このように、整容する部位によっては蒸しタオルやお湯を使うと、利用者さんの負担を軽減しながら楽にケアしやすいでしょう。

できることはご自身で行ってもらう

利用者さんができる範囲の整容ケアは、ご自身で行ってもらうこともADLを維持・向上させるために大切です。ご自身で行うことで達成感を味わえ、自立した生活に対する意欲が上がる方もいます。そのため、ADLが低下している利用者さんの場合は心身の状態を見極め、少しずつできる範囲を広げるような整容ケアを行っていきましょう。また、ある程度ADLを維持している利用者さんには、それを妨げないようサポートすることが重要です。

整容ケアはADLの向上につながる!適切なサポートを

身だしなみは、心や体に大きな変化をもたらすと考えられています。そのため、利用者さんに行う整容ケアも、ADLを維持・向上するためには欠かせません。利用者さんが長年行ってきた方法や手順などに耳を傾け、整容ケアを進めていきましょう。改めて整容ケアの重要性について考えることで、利用者さんのさらなるADL向上へとつなげてみてはいかがでしょうか。

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