介護施設での思わぬSNSトラブル!予防法や対策を紹介
最近は、インスタグラムやTwitterなどのSNSを活用して、介護施設の様子を投稿しているところもあります。SNSを活用するメリットは、入居・利用希望者さんや介護スタッフの求人への応募が増加することが挙げられるでしょう。しかし、安易に利用者さんの画像を投稿すると、利用者さんの家族から抗議されたり裁判に発展したりすることも。そこで今回は、SNSの情報発信で起こり得るトラブルや防止策などについて紹介します。
目次
介護施設におけるSNSトラブルとは?
まずは、介護施設におけるSNS活用で考えられるトラブル事例について見ていきましょう。
施設の愚痴などをSNSに投稿
介護スタッフの個人アカウントで、勤務している施設や人間関係の愚痴を投稿するケースがあります。同僚や愚痴の対象となっている介護スタッフが、その投稿を知ったらどう思うでしょうか?
人間関係がさらに悪化するだけでなく、解雇に発展する可能性もあります。また、自分では個人情報を流出させるような投稿ではないと思っていても、些細なことで職場や個人名が特定されることもあるため、注意が必要です。
グループチャットでパワハラや仲間はずれ
介護スタッフ同士のSNSトラブルもあります。例えば、ある介護施設で、LINEなどで介護スタッフ専用のグループチャットを作成し、情報伝達を行っているとしましょう。
手軽にやりとりできるためとても便利ですが、意地悪なスタッフがいた場合、特定のスタッフをグループチャットに招待せず、情報の伝達漏れが起きるということも考えられます。
また、グループチャットから個人のLINEを特定し、勤務時間外にパワハラやセクハラなどに該当する行為をする方も出てくる可能性もあるでしょう。
利用者さんの個人情報を配信
SNSトラブルでは、利用者さんに迷惑をかけてしまうことも。例えば「利用者さんの1日」というタイトルで写真や動画を投稿したとしましょう。利用者さんや利用者さんの家族に、SNSに投稿することに関して同意を得ていれば問題ありませんが、そうでなければ、プライバシーの侵害で訴えられる可能性があります。
投稿した内容がとても素敵な笑顔だった、利用者さんが楽しそうだったなどという悪意のないものであっても、問題には変わりありません。理由はさまざまですが、利用者さんや利用者さんの家族の中には、その施設にいることを伏せているケースもあるためです。
なぜ介護施設でSNSトラブルが起きるのか?
介護施設におけるSNSトラブルは、どうして起きるのでしょうか?SNSトラブルの主な原因は、介護スタッフのSNS利用に対する認識不足です。SNSでは、不特定多数の方に情報発信することになり、そういったことに抵抗感を抱く方もいます。
また、自分にとっては些細な投稿でも、投稿を見ている方がその投稿に写っているものを特定し始め、個人情報を流出させるというリスクも。「SNSを利用する」ということは、すべての情報を世界に配信しているというくらいの認識が必要かもしれません。
その他には、「職場環境の悪さを他の方に知ってほしい」、「日常の不平不満を解消したい」などの憂さ晴らしや報復感情からくるものもあるでしょう。
介護施設におけるSNSトラブルを防止するために
そこで、介護施設におけるSNSトラブルを防止する方法について紹介します。
インターネットリテラシー教育の実施
まずは、SNSの特性や実際にあったトラブル事例を具体的に説明し、トラブルを起こさないための基本的な知識や、トラブルが起こることで生じるリスクを学ぶことが大切です。
これに加えて、トラブルが起きた場合の対処法など、基本的なインターネットリテラシーを高める教育を行いましょう。
また、SNSを利用して介護施設の投稿を行う場合、1つのスマホで介護施設専用アカウントと個人アカウントを持っている方もいます。この場合、個人アカウントに介護施設の情報を投稿してしまう危険も。施設の情報を投稿する場合は、介護施設投稿専用スマホを用意するなどの工夫が必要になるでしょう。
SNS利用のルール策定
SNS利用に関するルールを策定する必要があります。具体的な利用ルールを決めることで、どういったことが良くて悪いのかということが明確になるでしょう。
また、SNS利用に関するルールを策定した場合は、就業規則に追加するなどして入社時に説明し周知徹底することをおすすめします。
職場環境の整備
冒頭で紹介したトラブル事例の中には、職場環境に不満があることで発生しているものも。職場環境に問題があるのであれば、職員が気持ち良く働けるように職場環境を整えましょう。
具体的には、給与規定や人事評価制度を見直したり、休暇制度を充実させたりするのも良いかもしれません。また職場環境のアンケートによって職場での人間関係改善に努めるのもおすすめです。
万一トラブルになった場合の対処法
最後に、スタッフの不適切な投稿が原因でトラブルになった場合の対処法について見ていきましょう。介護施設がとる対応策は以下の通りです。
- 投稿内容を確認し、証拠を残す
- 投稿したスタッフを特定し、事実確認をする
- 投稿内容を削除するように要請する
- 公式サイトで公表し、当事者に謝罪する
- 再発防止のための方法を考える
トラブルが起きた際には、迅速な対応が求められます。インターネット上に投稿された情報は、瞬く間に拡散し、すべてを削除することが難しくなるためです。そうなれば、嫌な思いをする方が増えることはもちろんですが、施設への損害も大きくなるでしょう。
また、トラブルの内容によっては弁護士に依頼する必要もあります。大きなトラブルに発展させないためにも、日頃からインターネットリテラシー教育を定期的に行う必要があるでしょう。
職場環境の整備とインターネットリテラシー教育の必要性
「自分が働く介護施設を多くの方に知ってほしい」という善意のSNSであっても、利用者さんの顔が特定できるような写真を投稿していれば、トラブルに発展するかもしれません。今一度、インターネットリテラシー教育を徹底し、SNS利用ルールの策定や職場環境の見直しを行いましょう。