【広島県の介護事情】有効求人倍率や平均給与はどのくらい?

広島労働局によると、広島県の介護職における有効求人倍率は、2022年1月時点で3.02倍。求職者数よりも、人材を求める企業が上回る状態です。2025年にはより高齢化が進み、高齢者介護施設やデイサービスなどの充足がさらに必要と見込まれています。この記事では、そんな広島県の高齢者事情や介護職に対する取り組みを紹介。「ケアマネマイスター広島」など、介護業界を盛り上げる制度などもお伝えしていきます。広島県で介護職を目指す方はぜひご覧ください。

広島県の高齢者人口とさまざまな取り組み

広島県が公表する「広島県における高齢化率及び後期高齢化率について」によると、2021年1月1日時点で65歳以上の高齢者人口は、82万1,897人です。高齢化率は29.2%と算出されています。総務省が公表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント」によると、同時点での日本全体の高齢化率は28.24%とのこと。広島県の高齢化率は全国平均をやや上回っています。

また、広島県の高齢化率は2040年にピークを迎える見込みです。2020年よりも90歳以上の人口が約6.6万人増加し、介護を必要とする85歳以上が総人口の1割近くになると予測されています。一方、2040年の広島県では介護の担い手となる人口は2020年から約26万人減少する見込みです。そのため、介護職の働き手を確保したい企業が増え、求人数も増えると考えられるでしょう。

・3年ごとに見直し!「ひろしま高齢者プラン」
広島県では、将来的な高齢化率の高まりを見込み、「ひろしま高齢者プラン」を3年ごとに策定。2021年度から2023年度までは「第8期ひろしま高齢者プラン」が適用されています。施策の柱となるのが、「人生100年時代 健やかに生きがいを持って暮らす」「住み慣れた地域で最期まで自分らしく」です。これらの実現のため、各地域でのウォーキング大会をはじめとした健康づくりイベントを実施し、運動に取り組みやすくなる環境を整備。従業員の健康づくりに積極的な中小企業の表彰制度や、高齢者の積極的な雇用による社会参画など、さまざまな取り組みが推進されています。

広島県の介護職員数や離職率はどのくらい?

広島県が公表するデータによると、2018年度までの介護職員数は4万8,071人とのこと。2023年までに5万5,902人の介護人材の確保を目標にしています。公益財団法人 介護労働安定センターが公表した「事業所における介護労働実態調査」によると、2020年度の広島県の離職率は11.7%です。全国の離職率平均は14.9%のため、広島県のほうが仕事を辞める方が少ないことが分かっています。

広島県の介護職員数や離職率はどのくらい?

広島労働局が公表する「職業別有効求人・求職及び賃金の状況」によると、2022年1月時点の介護職員(常用労働者)の有効求人倍率は3.02倍パートタイム労働者は、4.22倍です。これらの数値は、広島労働局管内の各ハローワークの取り扱い分を集計し算出されています。どちらも介護求職者数よりも、求人を出す企業数のほうが上回っていることが分かるでしょう。

なお、常用労働者は「期間を決めずに雇用されている者」または「1ヶ月以上の期間を決めて雇用されている者」のこと。パートタイム労働者は、「1日の所定労働時間や所定労働日数が常用労働者より少ない者」のことです。広島県では、2022年1月時点ではパートタイムの介護職員のほうが、有効求人倍率が高い傾向にあります。

ケアマネマイスター広島など介護業界を盛り上げる取り組みも

介護職の魅力を伝える取り組みとして、広島県では独自の制度を創設しています。その1つが「ケアマネマイスター広島」。広島県内の介護現場の第一線で活躍する、介護支援専門員(ケアマネジャー)の中から、とくに優れた方を広島県知事が認定する制度です。2012年からスタートし、2019年までに22名が認定されています。

また、広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会が運営する「ふくしかいごネットひろしま」では、広島の介護情報をピックアップ。求人を行いたい事業所と介護業界で働きたい方をつなぐ取り組みも行われています。

広島県の介護職の平均給与や時給はどのくらい?

広島県の介護福祉士の平均月給は、19万8,915円(2022年3月14日時点)。同時点での平均時給は、1,188円です。いずれも、求人検索システムの「Indeed(インディード)」の調べを参考にしています。地域ごとに見ると、広島市東区・西区・南区などが県の平均給与よりも高いでしょう。

月額平均8万円相当の改善!介護職に対する新しい経済政策も

介護職の処遇改善を目的とした新しい経済政策は、国をあげて推進されています。2019年10月からは、所定の要件を満たす介護サービス事業所で、10年以上働く介護福祉士を対象に処遇改善を実施。公費1,000億円程度を投じて、月額で平均8万円相当の処遇を改善する施策がとられています。

広島県が行う事業では「広島県介護分野就職支援金貸付事業」も特徴的です。同事業は、他業種などで働く方が介護職員として就職するときに必要な費用を貸付けるというもの。資格なしでも所定の要件を満たし、介護職員初任者研修以上の研修を修了する見込みがあれば、県が上限20万円までの貸付を行っています。なお、広島県内で介護職員として2年間業務に従事した場合は、全額返還免除となるそうです。介護職への就職を希望する方は、こうした制度も確認してみると良いでしょう。

広島県内での介護施設の割合は?

日本医師会総合政策研究機構が2020年4月に公表したデータによると、広島県内の介護施設は以下のような割合で推移しています。

二次医療圏総高齢者施設・住宅定員数県内シェア
広島18,84845%
福山・府中7,89319%
尾三4,63511%
3,7769%
広島中央2,7146%
広島西2,0395%
備北2,0225%

県内シェア45%を占める広島医療圏は、全国平均レベルかそれを上回る介護施設数を有しているとのこと。一方、2025年に現在のレベルを維持するためには、高齢者施設や住宅の増設、または在宅インフラが相当数必要と見込まれています。この傾向はそのほかの医療圏でも見られており、2025年に現在と同程度の介護施設数で対応可能なのは尾三医療圏と備北医療圏のみ。そのため、今後新たに開設された介護施設でオープニングから働くチャンスも見込めるでしょう。

二次医療圏の各該当地域は、以下のとおりです。

二次医療圏該当地域
広島中区・東区・西区・南区・安佐南区・安佐北区・安芸区・佐伯区・安芸高田市・府中町・海田町・熊野町・坂町・安芸太田町・北広島町
福山・府中福山市・府中市・神石高原町
尾三三原市・尾道市・世羅町
呉市・江田島市
広島中央竹原市・東広島市・大崎上島町
広島西大竹市・廿日市市
備北三次市・庄原市

広島県の介護施設で働こう!求人情報などもチェックを

広島は、今後も介護施設のニーズが高く、求人を行う企業も多い県です。とくに、高齢化のピークと見込まれる2040年までは、こうした傾向が続くと予測されます。高齢者の健康を維持するための取り組みを推進する一方で、介護職の人材確保に向けた制度づくりにも積極的です。これから広島県の介護施設などで働きたい方は、ぜひ求人情報をチェックしてみましょう。

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