高知県の介護求人状況は?県内における離職率や独自の高齢者事情とは

就職を考える上で気になるポイントはどこですか?人によって条件はさまざまかもしれませんね。まずは就職を考えているエリアでの求人情報や全国との違い、今後の展望などのチェックが必要です。こういった情報を知ることで、条件のより良い職場を選ぶことができたり、求人が多いエリアで就職活動ができたりします。今回は、高知県における介護職の求人状況や離職率、有効求人倍率などを詳しく見ていきましょう。

高知県の高齢者事情と全国平均との違い

まずは高知県の高齢者人口や高齢者向けの取り組み、全国との違いなどについて紹介します。

高知県の高齢者事情

高知県の人口は、1955年をピークに減少し何度か増減を繰り返したものの、近年は減少傾向にあります。65歳以上の高齢者人口は、1995年に初めて、0歳から14歳までの人口を上回りました。

2015年の総務省の国勢調査では、他の年齢人口よりも高齢者人口のほうが多い逆ピラミッド型の人口構成になっていることが判明。高知県の年齢別人口割合で言うと、65歳以上が占める割合は32.9%でした。

国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに高知県の将来人口を推計すると、2040年には65歳以上の高齢者の割合が約37%から約41%になると予想されています。

高知県と全国との比較

高知県における高齢化率を全国の場合と比較してみましょう。総務省の国勢調査では、2020年における全国の高齢化率が28.9%のところ、高知県は35.4%。これまでの調査結果を参考にすると、全国よりも10年先行して高齢化が進行していることが分かりました。

また、高知県の人口構造における問題点は、中山間エリアとそれ以外のエリアの人口の違いです。1960年代頃は中山間エリアのほうが人口は多かったものの、1980年を境に中山間エリアの人口が減少しています。

高齢者に対する県の取り組み

高知県では、人口構造の問題点である中山間エリアにフォーカス。「高齢者の暮らしを守り、若者が住み続けられる中山間地域をつくる」を基本目標に掲げ、さまざまな取り組みを検討しています。

具体的には、都市部との連携を図りながら中山間エリアで暮らし続けられるように、集落活動センターの開設や公共交通ネットワークの形成を促進。高齢者が住み慣れたエリアで安心して暮らすために、一人ひとりに最適な医療・介護・福祉サービスを提供できるように整備する必要があると考えています。

それに伴って、居住地域での切れ目のないネットワークを構築し、サポートするシステムの構築を推進中です。さらにデジタル技術を医療や福祉の分野にも取り入れ、暮らしの質を向上させる取り組みも検討されています。

高知県の介護職員数と離職率

ここでは、高知県の介護職員数と離職率について見ていきましょう。

高知県の介護職員数は?

日本医師会の地域医療情報システムの情報によると、2021年9月時点の介護職員数は、約9,280人でした。75歳以上の高齢者1,000人あたりにおける人員数は71.50。全国平均が68.25のため、全国と比べると高齢者に対する介護職員数は若干多いことがわかるでしょう。

高知県の介護職における離職率

次に、離職率です。公益財団法人介護労働安定センターが行った2019年度の「介護労働実態調査結果(都道府県版)」によると、2018年10月から2019年9月末までの介護職3職種(訪問介護員・介護職員・サービス提供責任者)の離職率は19.6%でした。全国の平均離職率は15.3%のため、高知県での介護職の離職率は高めと言えるでしょう。

高知県での職員の過不足に関しては、訪問介護員の不足感がもっとも大きく、次に介護職員となっています。不足している理由では「採用が困難であること」が挙げられており、原因として、「同業他社との人材獲得競争の厳しさや介護業界へ人材が集まらない」と回答した事業所が多いようです。全国と比べると離職率が高いことも、人材が不足している理由に挙げられていました。

高知県で介護職に携わる方の平均年齢についても触れておきましょう。全国平均は48.8歳、高知県は49.7歳と若干年齢が高いことが特徴です。

高知県の介護職の有効求人倍率

2018年度における高知県の介護関係職種の有効求人倍率は2.26倍でした。全国の介護職の平均が3.97倍で、全職業平均は1.46倍です。

高知県における介護職の求人は、他の職種と比べると求人数が多いものの、介護職でくくると全国平均よりも求人数が低いということになります。ただし、有効求人倍率が2倍を超えていることから、介護職の需要は高いようです。

高知県の介護職の平均給与・時給など

求人サイト「Indeed(インディード)」の情報によると、介護職の平均給与は約22万円で、年収にすると260万円ほどです。国税庁が発表した2020年の「民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は433万円でした。介護福祉士だけで見ると、四国エリアの平均年収は、関東や関西、東海などをはじめ甲信越・北陸、中国エリアに次いで6番目。全国的に見ても平均年収が低い傾向にあります。

同じく「Indeed」の調べによると、2022年3月の高知県における介護職員の月給がもっとも高かった地域は、以下の通りです。

  • 安芸市:28万2,406円
  • 高岡郡佐川町:24万4,802円
  • 高岡郡日高村:23万9,366円
  • 南国市:22万3,940円
  • 吾川郡いの町:22万1,527円

高知県の介護福祉士のアルバイトやパート、派遣社員における時給については、900円から1,250円ほどです。全国の介護福祉士の時給平均が1,050円から1,400円ほどのため、高知県の時給は比較的低いと言えるでしょう。

しかし、高知県では今後、介護職員の人材定着促進や離職防止対策を本格的に行う予定です。介護職員の処遇改善に関しても対策に盛り込まれています。

また、今後高齢化率が高まる予測もあるため、高知県における介護職や介護事務・病院関係者などの求人数は増える可能性が高いでしょう。

高知県内での介護施設の割合

日本医師会の地域医療情報システムを参考にすると、2021年の高知県の介護施設数は1,372施設でした。75歳以上の1,000人あたりの施設数は高知県が10.57、全国平均が11.31で、全国平均よりも少し少ないです。

高知県では、各介護施設の中でも訪問型介護施設数が少ないのが特徴。75歳以上の1,000人あたりの施設数で見ると、高知県は2.27、全国平均は3.02となっています。また、居宅介護支援事業所数も全国平均と比べると少ない結果に。

反対に全国平均を上回っているのは、通所型介護施設や入所型介護施設です。高知県で介護職の求人情報を探している場合は、こういった情報をふまえてハローワークなどで仕事を探してみると良いでしょう。

最後に、高知県のエリア別介護施設数を紹介します。

  • 安芸医療圏:110
    (室戸市・安芸市・東洋町・奈半利町・田野町・安田町・北川村・馬路村・芸西村)
  • 中央医療圏:991
    (高知市・南国市・土佐市・香南市・香美市・本山町・大豊町・土佐町・大川村・いの町・仁淀川町・佐川町・越知町・日高村)
  • 高幡医療圏:112
    (須崎市・中土佐町・梼原町・津野町・四万十町)
  • 幡多医療圏:159
    (宿毛市・土佐清水市・四万十市・大月町・三原村・黒潮町)

施設数で見ると中央医療圏に一極集中していることがわかります。今後、高知県が考えている中山間の福祉対策が進むと、また状況も変わるかもしれません。

現在の給与水準は低めだが今後の対策に期待

高知県の介護職における求人数は、他の職種と比べると高いほうです。ただ、全国の求人数や給与水準と比べると若干低いことがネックとなっているのかもしれません。しかし高知県では介護職に就く人材の離職を防ぐために、処遇改善やその他の対策が進められています。今後対策が進めば、働きやすい環境が整う可能性は高いでしょう。

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