介護施設の施設長の仕事って?年収は?役割や必要な資格とは

介護施設のトップとして、さまざまな職務を担う施設長。介護業界で働きながら、将来的に施設長になることを目標にしている方もいるでしょう。施設の統括者として運営に深く関わるポジションですが、普段どのような仕事を行い、どのようなキャリアが必要となるのでしょうか?今回は、施設長の役割や仕事内容、必要な資格などについて、わかりやすく解説します。

施設長の役割とは?

介護施設でトップの役職となる施設長。施設によっては、センター長やホーム長、管理者などと呼ばれることもあります。
施設長の役割は、組織全体のマネジメント業務を担うことです。
介護保険法では、指定介護老人福祉施設の管理者について、次のように定めています。

(管理者の責務)
第二十二条 指定介護老人福祉施設の管理者は、当該指定介護老人福祉施設の従業者の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行わなければならない。

2 指定介護老人福祉施設の管理者は、従業者にこの章の規定を遵守させるために必要な指揮命令を行うものとする。

施設長に求められるマネジメント業務は、職員の管理から利用者さんの管理、そして施設運営に関わることまで、多岐にわたるのが特徴です。

施設長の仕事内容は?

介護施設全体の統括者として、幅広い業務を担う施設長。ここでは、施設長の具体的な仕事内容についてご説明しましょう。

介護業務に関するマネジメント

施設で利用者さんに提供している介護サービスが適切になされているか、統括者としてマネジメントを行う仕事です。
利用者さんそれぞれの状態を把握することはもちろん、状況次第で、ご本人やご家族の方との面談も行い、サービス状況の確認も行います。

施設で働く職員のマネジメント

施設の統括者として、スタッフの採用や教育、適切な人員配置を行うことも仕事の一環です。
大規模法人運営の施設では人事担当部署が別途設けられていることもありますが、そうでない場合は、入社や退社などスタッフの労務管理を施設長が担うこともあります。
スタッフが働きやすく、利用者さんにより良いサービスを届けられているかどうか、職場の雰囲気や状況を把握しコントロールすることも大切な業務です。

収支に関するマネジメント

施設の収支に関するマネジメントも、施設長の仕事です。
利用者さんと施設との間に発生する契約業務や必要経費の管理はもちろん、施設運営に関する経費の管理や介護報酬の請求管理などを行います。

行政に関する管理

各種届出や消防計画など、施設を運営するうえで必要な書類の作成や提出を管理する業務も施設長が行っています。

施設長として働くメリット!年収にも影響する?

施設長は、介護施設において、組織全体の統括的なマネジメントを行います。
一般的な介護スタッフが「もっと質の高い介護サービスを提供したい」「スキルの高い人材を育てたい」と思っても、施設運営やその方向性にまで影響を与えることは難しいかもしれません。その点、介護施設のトップである施設長は、人材育成や適切な人材の配置、運営方針の決定など多くの事柄に携わり、マネジメント能力を活かせる点がメリットといえます。
非常に責任の重い立場となりますが、介護職の経験はもちろん、自身のマネジメント能力を活かして、他の職種にはないやりがいや達成感を得られる仕事と言えるのではないでしょうか。

また、施設長は、介護業界の中でも給与面で好待遇と言える職種です。
公益財団法人介護労働安定センターが行った「令和2年度介護労働実態調査」では、施設長の月収が平均382,036円、一般職員の月収平均が240,878円と報告されており、他職種よりも年収が高い傾向があります。
非常に責任あるポジションゆえ、給与が高い点も魅力と言えるでしょう。

施設長になるために必要な資格は?

施設長になるための要件は、施設ごとに異なります。それぞれの施設で施設長となるのに必要な要件や資格についてご説明しましょう。

特別養護老人ホーム

厚生労働省は「施設長の資格要件等」において、特別養護老人ホームの施設長の資格要件を以下のように定めています。

  • 社会福祉主事の要件を満たす者
  • 社会福祉主事に2年以上従事した者
  • 社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者
  • 介護老人保健施設

厚生労働省の「施設長の資格要件等」によると、介護老人保健施設の施設長は、「都道府県知事の承認を受けた医師」が管理すると記載されています。例外として、都道府県知事の承認を受けた者であれば、医師以外の者が管理することも可能です。

グループホーム(指定認知症対応型共同生活介護事業者)

「介護保険法第二節 人員に関する基準 第九十一条」によると、グループホーム(指定認知症対応型共同生活介護事業者)の管理者は以下のように定められています。

  • 特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定認知症対応型共同生活介護事業所等の従業者又は訪問介護員等として、三年以上認知症である者の介護に従事した経験を有する者
  • 別に厚生労働大臣が定める研修を修了しているもの

介護療養型医療施設

厚生労働省の「施設長の資格要件等」によると、「臨床研修修了医師」が管理するとされています。

有料老人ホーム

高齢者向けに、「食事」「介護」「家事」「健康管理」の中でいずれかのサービス提供を行っている有料老人ホーム。このような有料老人ホームの施設長に必要な要件は、特に定められていません。
介護業界未経験でもチャレンジ可能ですが、実務をこなすには、介護の経験や知識がある程度必要であると言われています。そのため、職務で必要となる資格や経験が優遇されやすいのが特徴です。

ケアマネとの兼務はできる?

施設長は、一定の条件を満たせば、ケアマネと呼ばれる介護支援専門員(ケアマネジャー)やサービス提供責任者、介護職員などと兼務することが可能です。
一例として、三重県では、「介護保険事業所における管理者の兼務」において、兼務できる例を定めているので、一部ご紹介します。

  • 同一事業所内における従業者との兼務
  • 併設する他の事業所の管理者との兼務(管理者同士の兼務)
  • 3事業所以上の管理者同士の兼務

ただし、自治体ごとに基準が設定されているため、施設の所在地により条件が異なることもあるので注意しましょう。

施設長の働き方は?

多くの介護施設で日勤や夜勤など交代制シフトを導入していますが、施設長として他の業務と兼務をしていない場合は、夜勤はなく日勤で働くことになるでしょう。ただし、24時間体制で運営している施設では、スタッフの欠勤や不測の事態に対応して、施設長が夜勤を行う場合もあるようです。
また、介護職員として兼務しているのであれば、夜勤のシフトに入る機会も増えるでしょう。
スタッフの労務管理を施設長が行うことが多いため、他の職種と比べると比較的働き方に柔軟性があるのが特徴です。

施設長はやりがいや年収面も魅力!

介護施設の施設長は、介護業務やスタッフの労務管理など施設全体のマネジメントを行う重要な仕事を担っています。業務も多岐に渡りますが、その分、やりがいや年収に魅力のある仕事だと言えるでしょう。介護職に興味がある方や、介護業界でのステップアップをお考えの方は、ぜひ参考にしてくださいね。

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