介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いは?一覧でチェック!
高齢者が快適な生活が送れるよう設備やサービスが整えられた有料老人ホームには、提供するサービスなどによりさまざまな形態があります。この記事では、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームについて取り上げました。各施設の違いを分かりやすく一覧にして解説しますので、提供サービス内容の違いについて参考にしてください。
目次
介護付有料老人ホームとは?
厚生労働省によると、有料老人ホームとは、以下のように定義されています。
「老人を入居させ、以下の1~4のサービスのうち、いずれかの サービス(複数も可)を提供している施設」
- 食事の提供
- 介護(入浴・排泄・食事)の提供
- 洗濯・食事等の家事の供与
- 健康管理
介護付有料老人ホームは、厚生労働省の平成25年度老人保健健康増進等事業「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」によると、次のように定義されています。
- 介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設
- 介護等が必要となっても、ホームが提供する介護サービスである「特定施設入居者生活介護」を利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能
最も大きな特徴は、24時間365日、介護スタッフが常駐していることです。
住宅型有料老人ホームとは?
一方、住宅型有料老人ホームは、同じく厚生労働省の平成25年度老人保健健康増進等事業「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」によると、次のように定義されています。
- 生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設
- 介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら、ホームでの生活を継続することが可能
特徴としては、食事の提供や洗濯・清掃といった生活サポートがメインであることです。基本的には、介護サービスは付いておらず、個別の対応が必要となります。
「介護付」「住宅型」2つの有料老人ホームの違いを一覧でチェック!
介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホーム、2つの施設の違いを一覧にまとめました。
介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | |
---|---|---|
入居条件 | ■65歳以上の高齢者 ・自立型/入居時に自立している方(介護認定を受けていない方 ・混合型/自立~要介護の方 ・介護専用型/要介護1以上の介護認定を受けている方 | ■65歳以上の高齢者 |
サービス内容 | ■介護サービス ・食事介助 ・入浴介助 ・排泄介助 ・更衣の手伝い ■生活支援 ・食事の提供 ・掃除、洗濯 ・行政手続き ・買い物代行 ■健康管理 ・体温、脈拍の測定 ・服薬管理 ・健康診断 ■身体機能、認知機能維持の支援(リハビリ) ■イベントやレクリエーションの開催 | ■生活支援 ・食事の提供 ・掃除、洗濯 ■レクリエーションやイベントの開催調整 |
費用の目安 | ■入居一時金/約0~580万円 ■月額利用料/約15.7~28.6万円 | ■入居一時金/約0~21万円 ■月額利用料/約9.6~16.3万円 |
配置 | ■施設長1名 ■生活相談員(ソーシャルワーカー)1名以上 ※要介護者などの入居者100名に対して1名配置 ■計画作成担当者1名以上 ※要介護者などの入居者100名に対して1名配置 ■介護・看護職員 要介護者3名に対して1名以上 要介護者10名に対して1名以上 ※看護職員は入居者30名までは1名以上 以降、入居者が50名増えるごとに1名追加 ※機能訓練指導員は1名以上 | ■施設長1名 ※その他の人員配置に関する基準なし |
※費用の目安は、老人ホーム検索サイト「みんなの介護」より
介護付有料老人ホームは、介護保険法に基づいた厚生労働省の基準がありますが、住宅型有料老人ホームは施設によって基準はさまざまです。そのため、人員配置についても、必要な人数が配置されていれば問題ないとされているので、特に基準は定められていません。
「介護付」と「住宅型」、提供サービス内容の違いについてしっかり解説!
一覧表にもあるように、介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームでは、多くの面で違いがあることが分かりました。ここからは、提供されているサービス内容について、違いを詳しく見ていきましょう。
まず、介護付有料老人ホームが提供するサービスは、生活支援や健康管理に加えて、介護サービスが入ることが大きな特徴です。要介護認定を受けている利用者さんに対しても、手厚く対応ができるよう人員が配置されています。
介護付有料老人ホームは、「自立型」「混合型」「介護専用型」に分かれており、入居対象となる利用者さんによって提供される介護サービスが異なります。
自立型は要介護認定されていないことが入居条件のため、介護スタッフの人数は、基準は満たしていても比較的少なく、娯楽などを楽しめる設備が多く備わっている傾向があるようです。対して介護専用型は、介護スタッフが多く、リハビリ設備が整った施設もあります。混合型は入居対象が幅広いため、夫婦で異なる介護状態でも、施設によっては受け入れ可能です。
介護付有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐し、医療機関との提携もされていることから、常時介護が必要な方にとっては安心して過ごせる介護サービスが魅力です。また、これらの介護サービスが月額利用料に含まれていることも、特徴のひとつでしょう。
一方、住宅型有料老人ホームが提供するサービスは、主に食事の提供や、洗濯、清掃といった生活支援のみです。生活上のサポートがメインであるため、食事や入浴介助などの介護のサービスを受けるには、外部の事業者に依頼をしたり、入居者が個別に契約したりといった対応が必要となります。
住宅型有料老人ホームの最大の特徴は、レクリエーションやイベントが多く開催されることです。季節の行事など、楽しみが多い生活を送ることができます。一人で暮らすには不安があっても、まだ介護が必要でない方にとっては、必要な生活支援を受けながら快適に過ごせるでしょう。
これらのことから、介護付有料老人ホームでは介護サービスが充実しており、住宅型有料老人ホームは生活支援がメインであることが分かります。
2つの施設の大きな違いは、介護サービスの有無にあると言えるでしょう。
介護付有料老人ホームのメリット・デメリット
ここからは、各施設のメリットとデメリットについて解説します。まず、介護付有料老人ホームについては、介護サービスの充実という特徴があり、そのことが最大のメリットと言えるでしょう。
介護付有料老人ホームは、自治体から「特定施設入居者生活介護」の認定を受けています。認定を受けるには、厚生労働省の基準を満たす必要があり、人員の配置や設備、運営状況に関して、国が定める基準以上の環境が整った施設です。24時間介護スタッフが常駐しており、医療機関とも提携しているため、常時介護が必要な状態の方にとって、安心して生活できる環境が提供されています。
反対にデメリットとして挙げられるのは、外部のデイサービスや訪問介護などを利用できないことでしょう。入居前に利用していた介護サービスを引き続き利用することはできないので、注意が必要です。また、常時介護を必要とする方が多い施設のため、介護度が低い方にとっては環境に馴染みにくいかもしれません。
常時提供される介護サービスが必要な場合は、介護付有料老人ホームを選ばれる方が多いようです。
住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット
住宅型有料老人ホームの最大のメリットは、生活支援に加えて、レクリエーションなどのイベントや娯楽設備が充実していることです。
レクリエーションや娯楽設備は、暮らしの楽しみを重視する方にとっては、外せないサービスでしょう。自立している方が多いので比較的自由な生活が送れ、過ごしやすいのもメリットのひとつです。
デメリットとしては、介護サービスが含まれていないという点が挙げられます。入居後に要介護状態になった場合は、退去しなければならない可能性もありますので注意が必要です。外部の介護サービスを利用することになるので、必要な介護サービスを自由に選べることはメリットですが、個別に契約をする訪問介護のような形になり、月額利用料とは別に費用が発生することも考慮しておく必要があります。
介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いを理解しましょう
この記事では、介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いについて、詳しく解説しました。2つの施設には、介護サービスの内容について大きく違いがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。本記事を参考に、介護付有料老人ホームと住宅型有料老人ホーム、2つの施設の違いについて理解を深めてください。