訪問介護と訪問看護の違いとは?それぞれの特徴を分かりやすく解説

訪問介護と訪問看護は、どちらも名前が似ていますが、サービス内容は異なります。訪問介護の場合は、ホームヘルパーが利用者さんの自宅を訪問し、日常生活の支援のみを行うものです。一方、訪問看護の場合は、看護師が自宅を訪問し、医療処置を含めた療養生活の支援と日常生活の支援を行います。今回の記事では、訪問介護と訪問看護の特徴や違いを解説。それぞれのメリットやデメリットも紹介します。

訪問介護とは?特徴をチェック

まずは、訪問介護とはどのような特徴があるのか見ていきましょう。

訪問するのはホームヘルパー

訪問介護の場合は、ホームヘルパー(訪問介護員)が介護を必要としている患者さんの自宅を訪問して、日常生活の支援を行います。ホームヘルパーの正式名称は、訪問介護員で、介護保険法にもとづく訪問介護を提供する専門職です。

訪問介護員になるには、介護職員初任者研修を修了した後に、修了証明書の交付を受ける必要があります。

訪問介護のサービス内容

  1. 身体介護
    訪問介護では、利用者さんの身体に直接触れて行う身体介護を行います。身体介護の具体的なサービス内容は、食事や排泄の介助に加え、清拭・部分浴・全身浴や専門的な配慮を持って行う調理、服薬介助など、自立生活の支援が目的です。
  2. 家事援助
    専門技術が必要な身体介護の他には、食事の準備・掃除・洗濯などの家事の援助も行います。その他には、買い物の代行や薬の受け取りにも対応。利用者さんが一人暮らしの場合や、同居している家族も対応が難しい場合に行われる援助です。
  3. 通院等の乗車降車等の介助
    要介護1~5の利用者さんの場合は、通院等の乗車降車等の介助サービスが受けられます。介護タクシーと呼ばれるサービスで、車いすやストレッチャーなどに乗ったまま乗車できるのが特徴です。専用の車両を利用することで、利用者さんの介助が行えます。
    介護タクシーは、日常生活や社会生活を行う上で、必要な行為が発生した外出に限り利用できるサービスです。

訪問看護とは?特徴をチェック

続けて、訪問看護とはどのような特徴があるのか見いきましょう。

訪問するのは看護師などの医療の専門家

訪問看護の場合は、看護師などの医療の専門家が、療養ケアや生活の支援を必要としている方の自宅を訪問。医療処置を含めた、療養ケアや診療補助が行われるのが特徴です。

看護師になるには、看護師の専門学校や大学を卒業した上で、国家資格試験に合格する必要があります。

訪問看護のサービス内容

  1. 医療処置や病状の観察など
    訪問看護は、訪問介護では対応できなかった医療処置や病状の観察などを、かかりつけの医師の指示によって行うことができます。かかりつけの医師の指導で、在宅で看護師による点滴や傷の治療等も可能。また、病状の観察として体温・血圧・脈拍などのチェックなども行います。
  2. ターミナルケアや床ずれ予防など
    訪問看護では、在宅で酸素や人工呼吸器などの管理や、ガン末期や終末期の方のターミナルケアも可能ですまた、床ずれ予防や指導、かかりつけの医師の指導のもと床ずれの手当ても行います。
    また、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士から、在宅でリハビリテーションを受けることも可能です。
  3. 日常生活の支援
    訪問介護と同様に、訪問看護でも療養上の日常生活の支援も行っています。具体的には、清拭、洗髪、入浴介助、食事・排泄の介助や指導の他、認知症ケアや介護予防のアドバイスも可能です。

二つの違いを一覧でチェック!

訪問介護と訪問看護のスタッフ・費用・適用される保険の種類・サービス内容などの違いを以下の図でまとめたので、確認してみましょう。

訪問介護訪問看護
スタッフホームヘルパー (訪問介護員)看護師を中心とした医療の専門職
費用厚生労働省の「介護報酬の算定構造」によると

<身体介護>
◆20分未満:167円単位
◆20分以上30分未満:250円単位
◆30分以上1時間未満:396円単位
◆1時間以上:579円単位
※30分増すごとに+84円単位

<生活援助>
◆20分以上45分未満:183円単位 ◆45分以上:225円単位

<通院等乗降介助>
◆1回につき99円単位
厚生労働省の「訪問看護の報酬」によると

①指定訪問看護 ②ステーションの場合 

◆20分未満:
①312円単位②264円単位
※週に1回以上、保健師または看護師による訪問を行った場合

◆30分未満:
①469円単位②397円単位

◆30分以上1時間未満:
①819円単位②571円単位

◆1時間以上1時間半未満:
①1,122円単位②839円単位

◆理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の場合:
297円単位
※1回あたり20分以上、1人の利用者さんにつき週に6回を限度とする。  
保険介護保険が適用
※保険外サービスを展開している民間の企業もある。
介護保険や医療保険が適用
※都道府県知事などによる指定を受けた事業所が対象。保険外サービスを展開している民間の企業もある。
サービス内容身体介護
(食事や排泄の介助・清拭・部分浴・全身浴・洗面等・身体整容・更衣介助・体位変換・移乗や移動介助・通院・外出介助・起床や就寝介助・服薬介助など)

家事援助
(掃除・洗濯・ベッドメイク・衣服の整理・被服の補修・一般的な調理・配下膳・買い物・薬の受け取りなど)
医療処置
(血圧・体温・脈拍などのチェック・在宅酸素や人工呼吸器などの管理・ガン末期や終末期の方のターミナルケア・床ずれ予防や手当・かかりつけの医師の指示に従って点滴や傷の治療・在宅で病状に応じたリハビリテーションなど)

療養生活や日常生活の支援
(清拭・洗髪・入浴介助・食事や排泄などの介助や指導・認知症ケア・介護支援や相談など)

厚生労働省「介護報酬の算定構造」「訪問看護の報酬」PDF参照※2020年11月時点

提供サービス内容の違いについてしっかり解説!

訪問介護と訪問看護は、どちらも介護を必要としている人が自宅にいながら利用できるサービスです。専門のスタッフが、利用者さんの家に訪問する点ではどちらも同じですが、訪問看護の場合は、看護師を中心とした医療の専門家がかかりつけの医師と連携を取り対応します。そのため、利用者さんの病状の観察や医療処置など、医療行為を含めたケアができるのが特徴です。訪問看護では、医療処置を必要とする方のケアや、身体機能の改善につながるサービス内容になっています。

一方、訪問介護は、ホームヘルパー(訪問介護員)が担当するため、医療行為を含むサービスは行えません。しかし、食事・排泄・入浴などの身体介護の他に、掃除や買い物などの日常生活の家事援助が提供されます。また、事業所によっては、病院への通院を目的とした介助つきの送迎サービスを展開しているのも特徴です。

訪問介護のメリット・デメリット

ここからは、訪問介護のメリットとデメリットを紹介します。

訪問介護のメリット

高齢者が在宅介護を希望する場合、家族に大きな介護負担がかかると言われています。しかし、身体介護や家事援助を行う訪問介護を受けることで、家族の負担が軽減でき、利用者さんの自立にもつながるでしょう。また、老人ホームなどの施設を利用するよりも費用を抑えることができる上に、自宅でサービスを受けられるので大きく環境を変える必要もありません。

訪問介護のデメリット

自宅の場合は、介護サービスを提供するための設備が整っていないことが少なくありません。訪問介護は、自宅で介護を行うサービスのため、在宅介護に対応できるように、バリアフリーなどリフォームが必要になる場合もあります。また、家に他人であるスタッフを招く必要があるため、中には相性が合わず利用者さんのストレスになってしまう場合もあるかもしれません。そのような場合は、担当者の変更が必要になるでしょう。

訪問看護のメリット・デメリット

続けて、訪問看護のメリットとデメリットを紹介します。

訪問看護のメリット

訪問看護を行うのは、看護師や保健師などの医療従事者です。そのため、[btp_line]在宅でありながら専門的なケアを受けることができます。通院の負担も減り、退院後にスムーズに自宅療養へ移行することも可能です。

看護師の場合は、点滴や胃ろうのチューブの管理などが可能。理学療法士の場合は、歩行のリハビリなど、言語聴覚士であれば、発音のリハビリなどに対応します。

また、訪問介護と同様に、家族の介護負担を軽減することができるでしょう。急に病状が変化した場合にも、迅速に対応することができます。

訪問看護のデメリット

訪問看護は、療養ケアを行うサービスなので、掃除や買い物などの日常生活の家事支援は受けられません。サポートが必要な場合は、別途ホームヘルパーのサービスの依頼が必要になります。

訪問介護と訪問看護の違いを理解しましょう

訪問介護と訪問看護は、名前が似ているものの受けられるサービスに大きな違いがあることがわかりました。どちらも、施設や病院ではなく自宅で過ごしたい方を対象にしていますが、家事援助が必要な方の場合は訪問介護、医療処置を含めた支援が必要な方の場合は訪問看護など、サービスの違いを理解することが大切です。

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