要支援と要介護はどう違う?段階ごとのサービスの違いとは

2000年から介護保険制度が始まり、要介護・要支援認定の審査結果に応じて、介護保険サービスが受けられるようになりました。厚生労働省の2021年7月の調査によると、65歳以上の第1号被保険者の人数は3,584万人にのぼっています。

では、介護保険サービスの審査の基準となる、「要支援」や「要介護」とはどのような内容なのでしょうか。今回の記事では、介護認定審査に必要な要支援・要介護の定義や、利用者さんが受けられるサービスの違いについて解説していきます。介護職として働いている方や、介護職に興味のある方はぜひ参考にしてください。

要支援と要介護の違いとは?

介護保険サービスを利用するためには、日常生活で介護や支援がどの程度必要かなどについて審査を受けなければなりません。要介護認定を受けるには、居住する市町村の窓口に申請します。訪問調査や医師の意見書をもとに、審査委員会が介護の必要性を審査するのです。

審査判定は、自立、要支援1~2、要介護1~5の8つに分類されます。厚生労働省によると、「要支援」とは、介護は必要ないけれど、日常生活に不便を感じており、一部支援が必要な状態です。一方「要介護」とは、早急に介護が必要な状態と定義されています。介護の必要度によって要支援は2段階、要介護は5段階に分類され、数字が大きくなるほど介護の必要度が高いことを表します。

要支援と要介護で受けられるサービスの違い

要支援と要介護で受けられるサービスの違いは、日常生活でどれだけ支援を必要としているかで変わります。審査の目安は以下の通りです。

状態の目安受けられるサービス
自立日常生活や身の回りのことは1人ででき、支援や介護を必要としていない状態。介護保険外のサービス
※全額自己負担。
要支援1日常生活の基本的なことは1人でできるけれど、複雑な動作に支援が必要な状態。将来的に要介護にならないための予防も兼ねています。介護予防サービス
(訪問・通所)
要支援2日常生活の基本的なことは1人でできるけれど、立ち上がりや歩行に支援が必要な場面が多い状態。支援を受ければ、現状を維持・改善できる可能性が高いのが、要介護との違いです。介護予防サービス
(訪問・通所)
要介護1日常生活は1人で送れるけれど、要支援2と比べて日常的な動作が難しく、支援を必要としている状態。介護サービス全般
(訪問・通所・施設入居)
要介護2歩行や排泄など日常の基本的な動作が難しく、身の回りのことにも介助が必要な状態。介護サービス全般
(訪問・通所・施設入居)
要介護3自力で歩いたり、立ったりするのが難しく、身の回りのこと全般に介助が必要な状態。認知症で思考力や判断力が低下し、問題行動が見られることがあります。介護サービス全般
(訪問・通所・施設入居)
要介護4自力で立ったり、歩いたりがほとんどできず、食事や排泄などの身の回りのことに介助が必要な状態。思考力や理解力が低下し、意思疎通が難しいことも。介護サービス全般
(訪問・通所・施設入居)
要介護5ほぼ寝たきりで、身の回りのこと全てに介助が必要な状態。理解力の低下が進み、意思疎通が困難な状態です。介護サービス全般
(通所・訪問・施設入居)

状況に合わせて適切な介護で利用者さんをサポートしよう

要支援と要介護の違いは、支援や介護の必要度合いによって変わるものです。介護保険サービスでは、介護認定審査会の結果に応じて、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作ります。自立に分類された方でも、介護保険外の介護予防事業やサービスなどが利用できます。健康状態や身体機能は常に変化するものなので、定期的に介護の必要度を見直し、適切な介護をしていくことが大切です。

この記事をシェアする