生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)とは?役割や資格要件まで詳しく解説
高齢化の進む日本において、注目されつつある生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)。高齢者が住み慣れた土地で生活を続けられるよう支援していく仕事です。高齢者の生活場所を施設から在宅へシフトしようとしている今の日本では、需要の高い職業と言えます。この記事では生活支援コーディネーターとはどんな仕事か、なるための要件や、待遇面まで詳しくご紹介。これから生活支援コーディネーターを目指してみようとお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
【簡単に解説】生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員、SC)とは?
地域支え合い推進員や、略してSCとも呼ばれる生活支援コーディネーター。その名の通り、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう支援する仕事を担います。2015年の介護保険制度改正で、地域ケア包括システムを推進する役割として新しく設けられた職種です。厚生労働省では、「高齢者の生活支援・介護予防の基盤整備を推進していくことを目的とし、地域において、生活支援および介護予防サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能を果たす者」と定めてられています。
生活支援コーディネーターになるには?
生活支援コーディネーターになるためには、必須となる資格要件はありません。したがって誰でも目指すことが可能です。しかし、地域で生活する際の相談業務を行うため、地域に密着した支援方法を提案できる能力が求められます。地域に根ざしたネットワークや、生活支援サービスに精通していることが望ましいでしょう。よって、正社員の場合は社会福祉士、ケアマネジャーなどの資格が要件とされることが多いようです。また、あちこちへと訪問することが多い職種のため、普通自動車運転免許が必要とされる場合もあります。人とのコミュニケーションが得意な方、誰かの役に立つことが好きな方、フットワークが軽い方に向いている職種です。
生活支援コーディネーターの仕事内容、役割とは?
生活支援コーディネーターの仕事を大きく3つに分けてご紹介します。
地域住民が必要とする新しい福祉サービスの開発や育成
担当する地域にある既存サービスを見直し、地域住民のニーズに沿った新しい福祉サービスの開発を行います。また、新たなサービスを提供するために必要な人材確保や育成も生活支援コーディネーターの役割です。
地域に根ざした福祉ネットワークの構築
地域包括ケアシステムを円滑に進めるためには、多様な職種との連携が重要です。地域住民はもちろん、行政を含めた公的機関、NPOや民間で運営されている機関などさまざま。生活支援コーディネーターがこれら関係者のマッチングや、コーディネートをすることで、新たな福祉ネットワークの構築を担っていきます。
必要とされる支援に合った既存の取り組みとのマッチング
地域で必要とされる支援を見つけ出し、ニーズに合ったサービスを提供している事業所や関係機関をつなげる役割も生活支援コーディネーターの仕事です。
具体的な事例として、健康体操グループや高齢者サロンなどの立ち上げが挙げられます。また、その企画や運営、人材確保などの助言も生活支援コーディネーターの役割です。チラシや掲示板を活用し、担い手となるボランティアを募集することもあります。そのほか、住民主体の家事支援や移動支援、見守り活動といった生活支援の立ち上げサポートも生活支援コーディネーターの仕事です。人材育成という面では、社会貢献活動に興味のある方へ高齢者の生活支援を学ぶ研修会の情報提供を行うといった支援を行います。
生活支援コーディネーターの仕事では、どんな地域にしていきたいか、地域の方々が困っていることは何かを常に把握することが大切です。そして、解決するためには何が必要か、地域としてどんなことができるかといったこと考え、行動しています。人と人、人とサービスなどとつなぎ、助け合う仕組み作りをすることが生活支援コーディネーターの役割です。
生活支援コーディネーターが働く場所とは?
生活支援コーディネーターは自治体ごとに配置場所が異なります。小規模な自治体であれば市役所の福祉関連の部署へ。大規模な自治体なら地域包括支援センターや、業務委託による社会福祉法人または特定非営利法人などに配置されるのが一般的です。どこで従事できるかは自治体の規模により異なるため、転職時はチェックしておきましょう。
気になる生活支援コーディネーターの待遇について
つぎは生活支援コーディネーターの待遇についてです。求人サイトの募集要項を比較した結果、提示されている給与額は手当を含め平均で21~26万円程度となっています。基本的には窓口での相談業務をメインとするため、平日に日勤をする場合がほとんどです。ただし、地域の自治会が日曜や祝日、夜間にある場合は出勤することもあります。
給与や待遇は勤務場所により異なってきますが、正社員の場合は資格手当が付与されることが多いようです。経験を考慮した昇給もあり、安定した収入を得ることのできる職業となっています。
活躍するためにおすすめの研修や資格はあるの?
前述したように生活支援コーディネーターには必須とされる資格要件はありません。しかし、正社員雇用の場合では社会福祉士やケアマネジャーの資格保有を条件としている場合が多くあります。正社員で生活支援コーディネーターを目指す場合は、上記資格を保有すると有利になるでしょう。また、国や自治体が行っている「生活支援コーディネーター養成研修」があります。生活支援コーディネーターとして従事する方に推奨されている研修のため、チェックしておくとよいでしょう。
生活支援コーディネーターとして地域住民を支えよう
今回は生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を目指す方のために、基本的な情報をまとめました。地域住民のために尽力する生活支援コーディネーターは、やりがいのある仕事であることは間違いありません。資格要件がないため、挑戦しやすい職種とも言えます。人と人、人とサービスをつなぐ仕事に興味のある方は、生活支援コーディネーターを目指してみてはいかがでしょうか。