介護施設の法人格の違いを解説!社会福祉法人・医療法人など
法人格(ほうじんかく)とは、法人の権利・義務の主体となることができる資格のこと。そのため、ひと口に介護施設といっても、法人格の違いによって施設のあり方や活動の方針なども変わってきます。就職先・転職先を選ぶ際に、ひとつの目安として法人格の違いに着目する方も多いようです。そこで今回は、介護施設の法人格でよくある社会福祉法人・医療法人・株式会社などについて、それぞれの違いを解説します。
目次
【社会福祉法人】公益性の高い非営利法人
全国社会福祉法人経営者協議会公式ホームページによると、社会福祉法人とは、社会福祉法に基づき、社会福祉事業を行うことを目的に設立された法人のこと。公的な組織というわけではないものの、公益性の高さや非営利法人であることも特徴です。簡単な表現に言い換えると、地域社会において各種福祉サービスを提供する民間団体のことを指しています。
利益を目的としないため、社会福祉法人が保有する資金は、社会福祉事業以外に使用することができないのが原則です。また株式会社のように出資者への利益処分も許されていません。
【医療法人】医療法に基づき設立される非営利法人
一般社団法人日本医療法人協会公式ホームページによると、医療法人は「医療は人の命や安全に直接関わる事業であるため、営利企業に委ねることは適当ではない」という考えのもと創設されたそうです。具体的には、病院・医師・歯科医師が常時勤務する診療所・介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法の規定に基づき設立される非営利法人のことを指します。
【株式会社】さまざまな事業を目的とした営利法人
株式会社は、株式を発行し、資金を集め、その資本を用いて経営を行う法人。近年は、福祉サービスに参入する株式会社が増加傾向にあります。社会福祉法人・医療法人と大きく異なるのは、営利法人だということ。その法人独自の方針で経営を行っているため、教育体制(研修やレクリエーションなど)が充実していたり、昇給・昇格が早いなど処遇の自由度の高さを売りにしていたりする会社もあります。
株式会社は誰でも自由に設立できる法人だからこそ、型にはまらない福祉事業を行えるのが特徴です。
介護施設を経営するその他の法人
前述した3つの法人は代表的なものであり、それら以外にも介護施設を経営する法人がいくつかあります。簡単にご紹介しましょう。
- 社会医療法人…医療法人の類型のひとつ。公益性の高い非営利法人。
- 一般社団法人…非営利法人。必ずしも公益的な事業を行う必要はない。
- 一般財団法人…非営利法人。公益性のあり・なしや活動目的の内容は問われず、一定の財産があれば誰でも設立可能。
- 特定非営利活動法人(NPO法人)…非営利法人。社会貢献活動を継続的・組織的に行う。など
介護サービス別にみる法人格の違いとは?
厚生労働省発表の「令和2年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、介護施設のうち短期入所生活介護・認知症対応型通所介護・地域密着型介護老人福祉施設・介護予防支援事業所(地域包括支援センター)では、社会福祉法人が最多となっています。
また、通所リハビリテーション(デイケア)・短期入所療養介護(ショートステイ)の経営母体で最も多いのは、医療法人です。介護サービス事業所の種類ごとにみると、多くのサービスで営利法人が多くなっているとの結果も得られています。
ひと口に介護事業といっても、さまざまな法人格があり、法人の種類の違いによって経営方針や介護サービス事業の内容が異なることを認識しておきましょう。
各法人格の特徴や目的を知っておくと役立つ!
介護の仕事の内容は同じであっても、所属する施設の法人格の違いによって事業の目的や役割が異なります。社会福祉を目的とする施設で働きたい、公益性の高い事業に携わりたいなどの思いがあるのなら、まずは自身の希望に合致する法人格を見極めることから始めてみましょう。理想の転職先を見つける手がかりになるかも!