居宅介護支援事業所とは?サービス内容や費用などをわかりやすく解説
介護やリハビリなどを学んでいくと、さまざまな施設があることに気づくでしょう。どれも似たような名称であるため、具体的にはどんなことをしているのかピンとこない人もいるはずです。そこで今回は、利用者さんや家族をサポートする居宅介護支援事業所とはどういうものなのか、わかりやすく解説していきます。提供するサービス内容や利用者さんの費用面についても紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
目次
【わかりやすく解説】居宅介護支援事業所とは?
居宅介護支援事業所とは、在宅介護において利用できるサービスの紹介や調整、費用の計算、請求などを利用者さんに代わって行う事業所のことをいいます。居宅介護支援事業所では、介護支援専門員(ケアマネジャー)の常駐が義務付けられていることが特徴です。
居宅介護支援事業所を利用できるのは、要介護1以上の認定を受けた人ですが、どの居宅介護支援事業所を利用するかは利用者さんの判断によります。そのため、利用者さんが居宅介護支援事業所を選ぶ際には、幅広い視点での比較検討が必要です。例えば、自宅からの距離や24時間体制で相談ができるのか、ケアマネジャーとの相性はどうなのかなどが挙げられるでしょう。
特に、特定事業所加算を受けている事業所は、質の高いケアマネジメントを提供できている事業所とみなされます。ケアマネジャー1人当たりの担当数に制限をかけるなど厳しい条件を満たしているため、居宅介護支援事業所を選ぶ際のポイントとしても良いでしょう。
提供するサービス内容とは?
居宅介護支援事業所が提供するサービス内容は主に3つあります。ケアプランの作成・関係各所への連絡や調整・経過観察です。ケアプラン作成の前には、要介護認定の申請の支援を行うことも。
ケアプランの作成は、利用者さんがどんな生活を送りたいのかを把握した上で、どういった内容の介護サービスを、週に何回ほど必要なのかをヒアリングします。利用者さんの家族が困っていることは何かなどを知って、課題解決に必要な援助を見つけていく作業です。
必要な介助内容がわかれば、1日のスケジュールに合わせて計画を立てていきます。ケアプランが決まったら、その介護サービスに必要な介護事業者への連絡や、申し込みなどを受け付けている関係各所への連絡および調整も、ケアマネジャーの仕事です。
ケアプランの作成と連絡や調整が終わればそれで終了ということではありません。各種サービスを受ける中で利用者さんやその家族の状態が良い方向に変化しているのかをチェック。課題解決に向かっていない場合や新たな課題が出てきた場合には、ケアプランの見直しをすることもあります。このように、居宅介護支援事業所とは利用者さんやその家族が普段の生活を送りやすいように、まとめていく作業をする事業所といえるでしょう。
介護事業においては、どうしても利用者さんのみに目が向きがちです。しかし利用者さんをサポートする利用者さんの家族への支援も欠かせません。慣れない介護で精神的にも体力的にも限界を迎えている可能性もあるからです。
利用者さんとその家族に寄り添うサポートを心がけるのも、ケアマネジャーの役割と言えます。
医療体制は?
厚生労働省の資料「居宅介護支援・介護予防支援」内で定められている居宅介護支援の定義・基準では、居宅介護支援事業所の開設に関して医師の配置は義務付けられていません。職員の中に、経験のある看護師や保健師などが在籍していると利用者さんも安心できるでしょう。
また居宅介護支援事業所では、主治医や診療所、訪問看護ステーションとの連携が必要です。事業所によっては、積極的にコミュニケーションをとったり電話やメールで連絡を取り合ったりするなどの工夫をしています。
職員の種類と人員配置は法律で定められている
居宅介護支援事業所における職員の種類や人員配置について説明します。厚生労働省「居宅介護支援・介護予防支援」の資料内における居宅介護支援の定義・基準では、管理者と介護支援専門員が各1名ずつ必要です。管理者は常勤の介護支援専門員の有資格者と法律で定められています。
居宅介護支援を行う介護支援専門員の数は、利用者の人数に応じて配置しなければなりません。決まりとしては、利用者の数35人に対して1名配置となっています。
設備、種類は?
居宅介護支援事業を開設するには法人格を有する必要があり、事業目的に介護事業を行う旨を記載しなければいけません。またすでに法人格を有している会社が介護事業を行う場合は、定款の事業目的の変更手続きが必要なケースがあるため、注意しましょう。
設備に関して詳細な規定はありませんが、事務室や相談室、衛生設備を用意しておく必要があります。中には自宅を事務室と併用する場合もありますが、自宅と事務室部分は明確に区分しなければならないため注意してください。
また、運営基準に沿って業務を行う必要もあります。主な運営基準は以下の通りです。
- 内容および手続きの説明および同意
- 提供拒否の禁止
- 受給資格等の確認
- 利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付
- 要介護認定の申請に関わる援助
この他にも運営基準はありますので、居宅介護支援事業とはどういうものかを具体的に知りたい方は、ぜひ調べてみてください。
利用者さんの費用感は?
居宅介護支援事業所への相談やケアプランの作成などは全額介護保険が適用されるため、利用者さんは無料で利用できます。ただ、介護支援を受けた場合には、サービスに応じて費用負担をしなければなりません。
しかし医療保険や介護保険が適用されるため、基本的には1割負担となりますが、収入によっては2割負担や3割負担となる場合もあります。
居宅介護支援事業所とは利用者さんや家族のアドバイザー
居宅介護支援事業所とは、簡単にいえば利用者さんやその家族を誘導するアドバイザー的な存在です。不安なことや困ったことを抱えたままだと、利用者さんはもちろんその家族もどうしたら良いのかわからず立ち止まってしまうかもしれません。利用者さんやその家族の悩みに寄り添い、より良い生活が送れるようサポートする事業所・スタッフが求められています。