介護事業者認証評価制度とは?介護職へ就職・転職する人は要チェック!
2019年から厚生労働省が推進する介護事業者認証評価制度。介護の現場の働きやすさを評価し、優良事業所を認定して公表しています。この制度によって、介護職への就職・転職を目指す方が応募先を絞りやすくなるでしょう。事業所も積極的に職場改善に取り組むようになるため、今後は働きやすい職場が増えていくことも期待できます。今回は、介護事業者認証評価制度の内容について詳しく解説。中四国地方の実施事例もご紹介します。
介護事業者認証評価制度とは?
介護事業者認証評価制度とは、人材育成や職場環境の改善などに積極的に取り組んでいるかを評価し、優良と認められた介護事業者を公表する制度です。厚生労働省によってすすめられていますが、実施の決定権は各都道府県に委ねられています。
厚生労働省がこの制度を推進することを明らかにしたのは2019年ですが、いくつかの自治体では先駆けて独自の評価制度を実施していました。実際に、厚生労働省による評価制度は、京都府が2013年から開始した「きょうと福祉人材育成認証制度」をベースに整備されています。
評価制度の評価基準は公表されてはいませんが、モデルとなった京都府の制度によると、人材育成や職場環境の改善(休みの取得率や育児・介護との両立など)といった点だと推察されます。
介護事業者認証評価制度の目的
目的は、介護職の人材確保と育成です。評価によって優良かどうかか可視化されるようになれば、認証を得るために職場環境の改善などに注力する事業所も増えるでしょう。そうなれば、現役介護職はもちろん、これから介護職を目指す方にとっても働きやすい環境が増えることになります。その結果、介護職人口の増加につながり、介護業界全体の人材不足が解決できると考えられているのです。
介護事業者認証評価制度によるメリット
介護事業者の評価制度には次のようなメリットがあります。
雇用環境の改善に取り組む介護事業所が増える
評価制度によって優良認定を受けられれば、その事業所の働きやすさをアピールできるだけでなく、その地域での信頼度も高まります。そうなれば優秀な人材を集めやすくなるため、職場環境を改善しようとする事業所がこれまで以上に増えていくでしょう。介護職の職場環境への不満も解消されやすくなるはずです。
就職・転職するときの判断基準になる
介護職への就職希望者は、優良認定の有無によって就職先や転職先を比較検討しやすくなります。評価制度の評価基準は、教育体制の有無や休みの取得状況、育児や介護との両立のしやすさなどが推察されるため、将来的な働き方もイメージしやすくなるでしょう。
中国・四国の実施状況は?
最後に、中国・四国地方の各県の実施状況を見ていきましょう。中でも優良認定件数の多い県について事例を紹介します。
広島県「魅力ある福祉・介護の職場宣言ひろしま」認証制度
広島県では、2019年に従来の制度を改新し、人材育成や福利厚生、離職率の低さなどから2段階評価を実施。優良認定されると、ICT介護ロボット導入費用の補助や参加費無料セミナー、業務改善アドバイザー派遣などのサポートを受けられます。広島県社会福祉人材育成センターが運営する「ふくしかいごネットひろしま」によると、標準基準をクリアした「スタンダード認証法人」は351法人。その上の段階の「プラチナ認証法人」は33法人が認定済みです。(2023年8月時点)
公式HP:「働きやすい職場について知りたい - ふくし かいごネットひろしま|広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会」
高知県「高知県福祉・介護事業所認証評価制度」
高知県では、2018年から介護事業者に対して独自の評価制度を実施。優良認定されると、求職者へのPRの場が増えるだけでなく、1法人あたり5万円の研修費補助も受け取れます。高知県が運営する評価制度特設サイト「カイゴのシゴト」によると、現在、認定を受けているのは、40法人(254事業所)です。(2023年3月時点)
公式HP:介護の仕事| 高知県 介護人材 応援サイト【公式】
介護事業者の認証評価制度が今後の介護業界を変える!
介護事業者認証評価制度の実施は、これまで介護業界を長く悩ませてきた人材不足の問題を解消する糸口になるのでは、と期待されています。現役介護職だけでなく、求職者にとっても今後の働きやすさにつながるのではないでしょうか。介護業界での就職、転職を考えている方は、ご自身の地域の認定事業所について調べてみるといいでしょう。